職業訓練を卒業すると同時におきたビッグイベントは2つです。
一つは、結婚。もう一つは妊娠。妊娠は、自分の身体が自分の思うように動かない初めての体験だったかもしれません。つわりがとてもひどく、大好きなアロマの香りも受け付けませんでした。
「独立開業する」という気概が、空気の抜けた風船のようにしぼんでいってしまいました。結婚と同時に他県に引っ越していたこともあり、見知らぬ土地でつわりに耐え、友達もいない状況に、今覚えばだいぶ神経がすり減っていたんだな…と思います。会社を辞めたばかりだったことも重なって、「何もせず過ごしている自分は社会からはじかれてしまった」ような気もしていました。つわりの時期を抜けるとある程度吹っ切れて、出産したら仕事をする!と決めて、初めての出産に向けて日々をゆったり、あわただしく、過ごしていたように思います。
現実はなかなか思ったようにはいきませんでした。
初めての出産は予定より3週間も早く帝王切開で、産後の傷は痛く、授乳の仕方がわからない。退院日も、皆は家族が迎えに来てお祝い着を着せ華々しく退院していく中、どうしても仕事を抜けられないと夫から連絡が来て、一人でタクシーに乗って、産後のじくじく痛む傷を抱えて一人で帰宅。病院では助産師さんが手伝ってくれて授乳していましたが、赤ちゃんが母乳をうまく飲むことができず、夕方にぎゃんぎゃん泣いてしまって、だれにも頼ることができずに病院に戻れないか電話したりしました。
そんなドタバタ具合でしたので、もうアロマなどと言っている暇はなく、赤ちゃんとのいとおしい日々を必死に過ごしていたように思います。そのおかげで、2回目の出産のときはだいぶ学習し、アロマもたくさん使い、回復も早く、「回復が早すぎるので見学させてください、アロマのことも教えていただけると嬉しいです!」ということで退院まで看護学生さんが毎日病室見学に来られていました。
出産・産後の記憶が強烈だったのかもしれません。産後、母乳づまりでお世話になっていた助産院さんにおせわになった際、「私は女性を癒す仕事をしたいと思っていましたが、今は、自分と同じようにさみしい・辛い思いをしているお母さんがいらっしゃるとしたら、その方を癒す仕事もしたいです。」と相談しました。助産院の先生はとても賛同してくださり、ちょうど閉院したばかりのその助産院の建物を使ってやりなさい。と言われました。
「あなたのようにやりたいことがあるなら、それはやりなさい。家も使わないとすぐに古びてしまうから」と言われ、産後10カ月のころ、「ママとベビーのための癒しサロン ママベビリラ」を立ち上げました。会場は押さえたものの、セラピストが自分以外にいない状況だったので、自分のロミロミの先生に助けていただきセラピストを募り、広告などを作って身近な人から告知・募集しました。会場には助産院の先生が母乳相談や赤ちゃんの体重測定などをする部屋も作り、産後のママ達が心身ともに癒され、子供の心配事も少し減らすことができる場所を作りました。本当に先生方に甘えさせていただいて開催できたイベントでした。
そして、産後丁度一年経った12月5日、第一回目のママベビリラを開催しました。長男の誕生日を、セラピストや先生に祝っていただき、私も主催者としてまた社会に戻ることができた。そんな記念の日となったことを覚えています。
あの時、助産院の先生に言われて、素直にやる気になって素直に行動したことで、私の人生は思ってもなかった方に転がっていきました。今もこの活動は2024年に10年ぶりに復活した後、2026年まで形を変えて続いています。タイミングもありますが、あの時に出会った諸先生方のアドバイスを聞いて本当に良かったと思っています。
人生は短く、何が起きるかわかりません。助産院の長川先生、お元気でしたら今年ぜひお会いしたいと思います。
<もう少し、続きます>
